本記事は、「毎日デッサンをすることで思考が変わるのか」という実験の、3〜4ヶ月目の記録です。前回からの続きですが、この1本だけでも読めます。
実験のきっかけ
私がこの実験をはじめたきっかけは、「絵を描くことでアイデアが生まれやすくなる」という話を聞いたからです。
人の脳には、言語や数字などをあつかう左脳的な思考と、イメージや直感をあつかう右脳的な思考がある。だが、人はよく左脳的な思考ばかりを使ってしまう。
スケッチをすることは右脳的な思考を活性化し、両方の脳を使うことでアイデアが生まれる。
アイデアに生きることを掲げる私にとって、これは試すべきことのひとつだと感じました。
きっかけの詳細や、最初の2ヶ月で感じたことは、前回の記事にまとめています。
続けようと思った理由
最初の2ヶ月間を終えて、なんらかのアイデアが生み出せるようになった、というわけではありません。しかし、思考が変わりそうな予感のような次の変化を感じました。
- デッサンをすることで、観察の角度や解像度が変わる。
- 絵を描いて記録するという選択肢ができる。
そして、この習慣をもうすこし続けて様子を見てみたいと思い、さらに2ヶ月間続けることにしました。
やってみたこと
3~4ヶ月の期間で実践したことは、こちらです。
- 内容 1日10分以上、身の回りにあるものを何でもいいので1つデッサンする。
- 期間 2026年5月7日〜7月6日
- 日数 60日
※途中で描けなかった日もありましたが、その分期間を延長し、合計60日行いました。
また、1〜2ヶ月目のデッサンでは、主にスケッチブックとシャーペンを使用していました。しかし、今回からの新しい試みとして、2つの新しい道具を用意しました
- iPadのイラストアプリ
- 色鉛筆(36色)
道具を変えることで、新しい気づきが得られるかもしれません。その日の気分で、やりたい方法でデッサンしました。
3〜4ヶ月目の記録
毎日デッサンをすることで、思考はどう変わるのか。描いた絵をピックアップしながら、10日ごとの気づきや心境について記していきます。
61~70日目
今回から、デッサンの道具のひとつとして、iPadのイラストアプリを取り入れました。
iPad自体は以前から所持していましたが、デザインアプリに触れるのはほとんど初めての経験です。参考までに、使用したのは「Procreate」というアプリです。

アプリ内では、数えきれない種類のペンやブラシのオプションがあり、その機能に圧倒されそうになります。
ひとまずは、「HB鉛筆」を選んで、いつも通りデッサンをしていきました。

71~80日目
もの珍しさに、しばらくiPadでのデッサンを続けていました。とはいえ、やっていることは紙のときと同じです。
この頃、私はあることを試すようになりました。1つのものを、別の角度、別の距離から描くということです。

ここまで、手近なものを手当たりしだいに1つずつ描いていました。身の回りのものをある程度描いたタイミングで、「何を描くか」から「どう描くか」ということに興味がすこし変化していることを感じました。

81~90日目
一時的にブームとなっていたiPadでのデッサンでしたが、この時期に紙とペンにもどりました。iPadであっても、紙であっても、やることはあまり変わらなかったからです。また、どちらかといえば紙の方が、絵を描いている実感があります。

もちろん、デザインアプリには膨大な機能があるため、それらを活用して、紙には描けない絵を描くこともできます。
しかし、今は絵を描くということに向き合うことが大切だと感じました。アプリの機能をマスターするのは、また別の機会にしようと思います。

91~100日目
引き続き、紙とシャーペンをつかって絵を描きつづけます。しかし、正直なところ、この期間はデッサンへのモチベーションがすこし低い時期でもありました。
描くことにマンネリを感じつつも、新しいことを試すにはすこし疲れている、という時期だったように思います。描いた絵からも、淡々とつづけていることが伝わります。

しかし、後から振り返れば、こういう時期は必要だとも感じました。
「無理はしない。けれど、新しいことを試す元気が出るまで、やめない。」
そういう時期も、ものごとには欠かせないように感じます。

101日目~110日目
この時期に、私はようやくもう1つの道具を使い始めました。色鉛筆です。
3ヶ月目のスタート時から使いたいと考えていましたが、ここまで先延ばしにしていました。4ヶ月の終わりがせまり、いよいよ重い腰をあげました。

色鉛筆を使ってむずかしいと感じたことは、適した色をえらぶことです。自分の塗りたいと思う色の鉛筆を選んでみても、紙の上に塗ってみると、思っていた色となんだか違います。
36色という色数は私には余りある色の中から、すこし塗って、やっぱり他の色に変えて、という繰り返しの中で絵を描いていきました。

111日目~120日目
いよいよ4ヶ月目の終わりを迎える中も、色鉛筆を使うことに奮闘しています。ときどき、思い通りの色を選ぶことができましたが、やはりまだむずかしく感じていました。

しかし、色鉛筆をつかったデッサンを好きだと思うようにもなっていました。モノクロの絵にくらべ、描き終わりの視覚的なインパクトはやはり大きく、達成感も大きいからです。

こうして3〜4ヶ月目の実験が終了しました。
実験を終えて
この実験の3〜4ヶ月目を振り返った気づきを書きます。
「アイデアを生み出せるようになる」という抽象的な目的ではじめたこの実験ですが、実はこの期間に、私にはある変化がありました。
新しく試してみたいと思う別の実験のアイデアが、2つ見つかりました。そして、実際に行動をはじめました。
- 中国語を学びはじめること
- 「憑かれる読書」をすること
※これだけでは意味がわからないと思いますが、後日別の記事にしたいと思います。
この要因がデッサンにあるのかは、わかりません。しかし、私はある1つの仮説を立てることにしました。
「絵を描くことは、新しいことに目を向け、そこに1歩踏みだすエネルギーになるのではないか」という仮説です。
このように思う理由は、2つあります
①デッサンすることは、周囲に目を向けること
私はこれまでの実験を通して、デッサンすることが自分の考えのベクトルを外に向けているのではないか、と感じています。
なぜなら、デッサンをすることは、自分の注意を物理的に外に向けるからです。たとえば、描こうとしているモデル、自分の手元にある画用紙、自分が選ぶべき鉛筆の色など..。
そして、この方向づけは目に見えないものにも効果を発揮しているかもしれないと考えました。つまり、自分の外にある新しい情報やアイデアにも、より注意が向き、敏感になっている、ということです。
もちろん、ただの仮説です。
②一歩踏みだす抵抗を減らす
もう一つ、私は絵を描くことが、新しいものを試す抵抗感をなくしているとも感じました。
なぜなら、真っ白な画用紙に絵を描くことは、なにかを1からつくる行為だからです。1日10分程度の小さな行為にすぎませんが、まぎれもなく、なにもなかった場所に、なにかをつくっています。
そして、そこには小さいながらもトライ&エラーもあります。うまく描けなかったと思う日もあれば、思ったより様になり、達成感を感じる日もあります。
絵を毎日描くことが、失敗に慣れさせ、新しいことに向かうポジティブな気持ちを育てている、と感じました。
絵を描くことはトライ&エラーの最小行為
先に2つの理由を書きましたが、このように書くと、「それはデッサンでなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。工作をすることでも、曲を作ることでも、同じような効果があるかもしれません。私もそう思います。
しかし、この点について、もうひとつ気づいたことがあります。私にとって、デッサンが、何かを作ることの最小行為であるということです。
というのも、なにか立体的なものを毎日工作しようと思うと、時間もかかり、その材料となるものも継続的に手に入れる必要があります。曲作りには、最初からある程度のスキルが必要です。
一方で、絵を描くことは、1日10分あれば続けられます。そして、紙や色鉛筆も一度買えばかなりもちます。最初から特別のスキルも、不要です。
絵を描くことには、こういった特徴があることも、新たな気づきでした。
今考えていること
絵を描くことを、4ヶ月続けてきましたが、ひとまず、あと2ヶ月続けてみようと思います。
というのも、先に書いたように、私にとってデッサンはどちらかといえばポジティブな影響があると思うからです。また、半年というキリのいいところまで行ってみたい、と言う気持ちもあります。
2ヶ月後の、絵についての気づきやアイデアも、書いていきたいと思います。
この記録が、次の誰かの実験のきっかけになれば、うれしく思います。





